1980年1月1日火曜日

所得税法第95条(外国税額控除)

第二編 居住者の納税義務
第三章 税額の計算
第二節 税額控除(第九十二条―第九十五条の二
平成28年12月1日現在(未施行改正なし

(外国税額控除)
第九十五条 居住者が各年において外国所得税(外国の法令により課される所得税相当する税政令で定めるものをいう。以下この項及び第九項において同じ。)を納付することとなる場合には、第八十九条から第九十二条まで(税率及び配当控除の規定により計算したその年分の所得税の額のうち、その年において生じた国外所得金額国外源泉所得に係る所得のみについて所得税を課するものとした場合に課税標準となるべき金額に相当するものとして政令で定める金額をいう。)に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、その外国所得税の額(居住者の通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対して課される外国所得税の額、居住者の所得税に関する法令の規定により所得税が課されないこととなる金額を課税標準として外国所得税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国所得税の額その他政令で定める外国所得税の額を除く。以下この条において「控除対象外国所得税の額」という。)をその年分の所得税の額から控除する。

居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額地方税控除限度額として政令で定める金額との合計額を超える場合において、その年の前年以前三年内各年以下この条において「前三年以内の各年」という。)の控除限度額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額以下この条において「繰越控除限度額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税の額から控除する。

3 居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額に満たない場合において、その前三年以内の各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下この条において「繰越控除対象外国所得税額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、当該控除限度額からその年において納付することとなる控除対象外国所得税の額を控除した残額を限度として、その繰越控除対象外国所得税額をその年分の所得税の額から控除する。

4 第一項に規定する国外源泉所得とは、次に掲げるものをいう。
  • 一 居住者が国外事業所等国外にある恒久的施設に相当するものその他の政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を通じて事業を行う場合において、当該国外事業所等が当該居住者から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、当該国外事業所等が果たす機能、当該国外事業所等において使用する資産、当該国外事業所等と当該居住者の事業場等(当該居住者の事業に係る事業場その他これに準ずるものとして政令で定めるものであつて当該国外事業所等以外のものをいう。以下この条において同じ。)との間の内部取引その他の状況を勘案して、当該国外事業所等に帰せられるべき所得(当該国外事業所等の譲渡により生ずる所得を含み、第十五号に該当するものを除く。
  • 二 国外にある資産の運用又は保有により生ずる所得
  • 三 国外にある資産の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの
  • 四 国外において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価
  • 五 国外にある不動産、国外にある不動産の上に存する権利若しくは国外における採石権の貸付け地上権又は採石権の設定その他他人に不動産、不動産の上に存する権利又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、国外における租鉱権の設定又は非居住者若しくは外国法人に対する船舶若しくは航空機の貸付けによる対価
  • 第二十三条第一項(利子所得に規定する利子等及びこれに相当するもののうち次に掲げるもの
    • イ 外国の国債若しくは地方債又は外国法人の発行する債券の利子
    • ロ 国外にある営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この項において「営業所」という。)に預け入れられた預金又は貯金(第二条第一項第十号定義に規定する政令で定めるものに相当するものを含む。)の利子
    • ハ 国外にある営業所に信託された合同運用信託若しくはこれに相当する信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託若しくはこれに相当する信託の収益の分配
  • 第二十四条第一項(配当所得に規定する配当等及びこれに相当するもののうち次に掲げるもの
    • イ 外国法人から受ける第二十四条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当若しくは剰余金の分配又は同項に規定する金銭の分配若しくは基金利息に相当するもの
    • ロ 国外にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託並びに公募公社債等運用投資信託及びこれに相当する信託を除く。)又は特定受益証券発行信託若しくはこれに相当する信託の収益の分配
  • 八 国外において業務を行う者に対する貸付金これに準ずるものを含む。)で当該業務に係るものの利子債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるものから生ずる差益として政令で定めるものを含む。
  • 九 国外において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの
    • 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価
    • 著作権出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価
    • 機械、装置その他政令で定める用具の使用料
  • 十 次に掲げる給与、報酬又は年金
    • イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国外において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を除く。)に基因するもの
    • ロ 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類するものに基づいて支給される年金(これに類する給付を含む。
    • ハ 第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等のうちその支払を受ける者が非居住者であつた期間に行つた勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として非居住者であつた期間に行つた勤務その他の政令で定める人的役務の提供を除く。)に基因するもの
  • 十一 国外において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの
  • 十二 国外にある営業所又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結した保険業法第二条第六項 (定義)に規定する外国保険業者の締結する保険契約その他の年金に係る契約で政令で定めるものに基づいて受ける年金年金の支払の開始の日以後に当該年金に係る契約に基づき分配を受ける剰余金又は割戻しを受ける割戻金及び当該契約に基づき年金に代えて支給される一時金を含む。
  • 十三 次に掲げる給付補てん金、利息、利益又は差益
    • イ 第百七十四条第三号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる給付補てん金のうち国外にある営業所が受け入れた定期積金に係るもの
    • ロ 第百七十四条第四号に掲げる給付補てん金に相当するもののうち国外にある営業所が受け入れた同号に規定する掛金に相当するものに係るもの
    • ハ 第百七十四条第五号に掲げる利息に相当するもののうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの
    • ニ 第百七十四条第六号に掲げる利益のうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの
    • ホ 第百七十四条第七号に掲げる差益のうち国外にある営業所が受け入れた預金又は貯金に係るもの
    • ヘ 第百七十四条第八号に掲げる差益に相当するもののうち国外にある営業所又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの
  • 十四 国外において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約これに準ずる契約として政令で定めるものを含む。)に基づいて受ける利益の分配
  • 十五 国内及び国外にわたつて船舶又は航空機による運送の事業を行うことにより生ずる所得のうち国外において行う業務につき生ずべき所得として政令で定めるもの
  • 十六 第百六十二条第一項(租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得)に規定する租税条約(以下この号及び第六項から第八項までにおいて「租税条約」という。)の規定により当該租税条約の我が国以外の締約国又は締約者(第七項及び第八項において「相手国等」という。)において租税を課することができることとされる所得のうち政令で定めるもの
  • 十七 前各号に掲げるもののほかその源泉が国外にある所得として政令で定めるもの
5 前項第一号に規定する内部取引とは、居住者の国外事業所等と事業場等との間で行われた資産の移転、役務の提供その他の事実で、独立の事業者の間で同様の事実があつたとしたならば、これらの事業者の間で、資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引(資金の借入れに係る債務の保証、保険契約に係る保険責任についての再保険の引受けその他これらに類する取引として政令で定めるものを除く。)が行われたと認められるものをいう。

6 租税条約において国外源泉所得(第一項に規定する国外源泉所得をいう。以下この項において同じ。)につき前二項の規定と異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける居住者については、これらの規定にかかわらず、国外源泉所得は、その異なる定めがある限りにおいて、その租税条約に定めるところによる。

7 居住者の第四項第一号に掲げる所得を算定する場合において、当該居住者の国外事業所等が、同号に規定する内部取引から所得が生ずる旨を定める租税条約以外の租税条約の相手国等に所在するときは、同号に規定する内部取引には、当該居住者の国外事業所等と事業場等との間の利子(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の支払に相当する事実その他政令で定める事実は、含まれないものとする。

8 居住者の国外事業所等が、租税条約(居住者の国外事業所等が事業場等のために棚卸資産を購入する業務及びそれ以外の業務を行う場合に、その棚卸資産を購入する業務から生ずる所得が、その国外事業所等に帰せられるべき所得に含まれないとする定めのあるものに限る。)の相手国等に所在し、かつ、当該居住者の国外事業所等が事業場等のために棚卸資産を購入する業務及びそれ以外の業務を行う場合には、当該国外事業所等のその棚卸資産を購入する業務から生ずる第四項第一号に掲げる所得は、ないものとする。

9 居住者が納付することとなつた外国所得税の額につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた年の翌年以後七年内の各年において当該外国所得税の額が減額された場合におけるその減額されることとなつた日の属する年のこれらの規定の適用については、政令で定めるところによる。

10 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(次項において「申告書等」という。)に第一項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類、控除対象外国所得税の額を課されたことを証する書類その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定による控除をされるべき金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。

11 第二項及び第三項の規定は、繰越控除限度額又は繰越控除対象外国所得税額に係る年のうち最も古い年以後の各年分の申告書等に当該各年の控除限度額及び当該各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額を記載した書類の添付があり、かつ、これらの規定の適用を受けようとする年分の申告書等にこれらの規定による控除を受けるべき金額及び繰越控除限度額又は繰越控除対象外国所得税額の計算の基礎となるべき事項を記載した書類その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、これらの規定による控除をされるべき金額は、当該各年分の申告書等にこの項前段の規定により添付された書類に当該各年の控除限度額及び当該各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額として記載された金額を基礎として計算した金額を限度とする。

12 第一項から第三項までの規定の適用を受ける居住者は、当該居住者が他の者との間で行つた取引のうち、当該居住者のその年の第一項に規定する国外所得金額の計算上、当該取引から生ずる所得が当該居住者の国外事業所等に帰せられるものについては、財務省令で定めるところにより、当該国外事業所等に帰せられる取引に係る明細を記載した書類その他の財務省令で定める書類を作成しなければならない。

13 第一項から第三項までの規定の適用を受ける居住者は、当該居住者の事業場等と国外事業所等との間の資産の移転、役務の提供その他の事実が第四項第一号に規定する内部取引に該当するときは、財務省令で定めるところにより、当該事実に係る明細を記載した書類その他の財務省令で定める書類を作成しなければならない。

14 第九十二条第二項前段(配当控除)の規定は、第一項から第三項までの規定による控除をすべき金額について準用する。

15 第九項から前項までに定めるもののほか、第一項から第八項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

16 第一項から第三項までの規定による控除は、外国税額控除という。


平成二十六年三月三十一日法律第十号の未施行内容
所得税法等の一部を改正する法律
なし。

平成二十八年三月三十一日法律第十五号の未施行内容
所得税法等の一部を改正する法律
なし。

平成二十八年五月十八日法律第三十九号の未施行内容
漁業経営に関する補償制度の改善のための漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の一部を改正する等の法律
なし。

平成二十八年六月三日法律第六十三号の未施行内容
児童福祉法等の一部を改正する法律
なし。



所得税法施行令第221条(外国所得税の範囲)
所得税法施行令第221条の2(国外所得金額)
所得税法施行令第221条の3(国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算)
所得税法施行令第221条の4(国外事業所等に帰せられるべき純資産に対応する負債の利子)
所得税法施行令第221条の5(特定の内部取引に係る国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算)
所得税法施行令第222条(控除限度額の計算)
所得税法施行令第222条の2(外国税額控除の対象とならない外国所得税の額)
所得税法施行令第223条(地方税控除限度額)
所得税法施行令第224条(繰越控除限度額等)
所得税法施行令第225条(繰越控除対象外国所得税額等)
所得税法施行令第225条の3(国外にある資産の運用又は保有により生ずる所得)
所得税法施行令第225条の4(国外にある資産の譲渡により生ずる所得)
所得税法施行令第225条の5(人的役務の提供を主たる内容とする事業の範囲)
所得税法施行令第225条の6(国外業務に係る貸付金の利子)
所得税法施行令第225条の7(国外業務に係る使用料等)
所得税法施行令第225条の8(国外に源泉がある給与又は報酬の範囲)
所得税法施行令第225条の9(事業の広告宣伝のための賞金)
所得税法施行令第225条の10(年金に係る契約の範囲)
所得税法施行令第225条の11(匿名組合契約に準ずる契約の範囲)
所得税法施行令第225条の12(国際運輸業所得)
所得税法施行令第225条の13(相手国等において租税を課することができることとされる所得)
所得税法施行令第225条の15(債務の保証等に類する取引)
所得税法施行令第225条の16(内部取引に含まれない事実の範囲等)
所得税法施行令第226条(外国所得税が減額された場合の特例)
所得税法施行令第226条の2(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例に係る外国税額控除の特例)

法第95条《外国税額控除》関係
(国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算)95-5

(その他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算)95-10


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